大都会シカゴの影に隠れて、あまり話題に上らないミルウォーキー。しかし、訪れた人々は口を揃えて「ロマンチックな街」と形容する。トロントやシカゴが現代的なメトロポリスなら、こちらは河畔にたたずむ中世ヨーロッパの都市のようだ。街中を流れ、ミシガン湖に注ぎ込むミルウォーキー川の両岸に見え隠れする尖塔が街の歴史を物語っている。
古き良きアメリカの面影
シカゴから約2時間。人口63万人ながら、ウィスコンシン州最大の都市であり各種産業も発達しているが、あくまでも閑静で、古き良きアメリカの田舎町といった印象。周辺都市に比べ治安も良い。大学の街でもあることから、品格あるインターナショナルな雰囲気も漂っている。
7月から9月にかけてなら、イタリア、ドイツ、アフリカ、アラブ、アイルランド、インドと、エスニックなフェスティバルがほぼ毎週末開催されている。また、ミルウォーキー川やミシガン湖のウォーターフロントであるリバーウォークにはオープンエアの賑やかなカフェやレストランが建ち並び、川を臨みながら食事を楽しんだり、湖畔を散歩する人々が溢れる。そして、街の全体像が見渡せるミシガン湖のリバークルーズもお勧めだ。ディナークルーズに参加すれば、宵闇のなかで街が煌き、ロマンチックさも更にアップする。
ネイティブアメリカンにも尊ばれたロケーション
街の名の響きから想像できるように、ここはアメリカ先住民にとって、重要な土地だった。いくつかの部族の言葉で、「美しい土地」「部族の中心地」「川の合流地」などを表すそれぞれ似た発音の地名が変化し、「ミルウォーキー」となったという。
札幌とほぼ同じ北緯43度に位置し、冬の寒さが厳しいこの街は、19世紀半ばに大きく発展した。ドイツから移民の波が押し寄せ、彼らが街の成長に大きく貢献したのだ。ミルウォーキーの特筆すべき産業のひとつがビール醸造だが、全米のビールの約11%がこの地で生産されている。世界的に有名なビールブランドのひとつ、ミラービール(Miller
Beer)の本社見学ツアーは観光の定番コース。時間が許せば、1902年創業の著名なドイツ料理レストラン、メイダーズ(Mader's)にも行ってみよう。オードリー・ヘップバーンも訪れたというこのレストランでは、本格的ドイツ料理とともに世界各地のビールが味わえる。ちなみに、バイクで知られるハーレーダビッドソン本社があるのもここ、ミルウォーキーだ。また、MLBのミルウォーキー・ブリュワーズ、NBAのミルウォーキー・バックスの本拠地でもあり、スポーツ好きも大いに楽しめる街だろう。
〈文/Yoko Morgenstern〉
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